エクセル実践塾 > 特集「パレート図」

ABC分析する

 

 

 

 

 

 

 

 

ABC分析は、パレート図を用いて行うのが一般的です

パレート図は、売上や個数、頻度などを表す棒グラフと、その構成比累計を表す折れ線グラフの複合グラフです。

このパレート図は、「2軸上の折れ線と縦棒」という組み込みグラフで描くことができます。

ABC分析では、売上や個数、頻度などの高いものから、Aグループ、Bグループ、Cグループのようなグループ分けを行います。グループ分けすることで、重要なものや優先すべきものを明らかにしていきます。

一般的には、全体の70%を占めるものをAグループ、70〜90%をBグループ、残り10%をCグループとして分類します。このグループ分けの指針となるのが、構成比累計で描かれる折れ線グラフです。

グループ分けの割合は、分析対象の特性などによって調整します。

 

 

 

半透明の四角形をパレート図に重ねることで、ABCのグループ分けを明瞭にできます

@棒や折れ線の描かれている、プロットエリアを右クリックします。

A表示されるショートカットメニューから[クリア]を選びます。

Bプロットエリアの背景色がクリアされます。

Cツールバーの[図形描画]ボタンをクリックして、[図形描画]ツールバーを表示します。

D[図形描画]ツールバーの[四角形]ボタンをクリックします。

E第2軸の70%の目盛りを起点とし、左下隅までドラッグして、四角形を描きます。

第2軸には、構成比累計の折れ線のための目盛りが表示されています。全体の70%を占めるものがAグループなので、70%の目盛りを起点として四角形を描きます。

F[塗りつぶしの色]の[▼]ボタン→[その他の色]をクリックします。

G[標準]タブで、うすい青色をクリックで選びます。

H[透過性]を「60%」にして、[OK]ボタンをクリックします。

透過性のパーセンテージを上げると、色の透明度が増します。

I四角形の下側にある棒や折れ線が透けて見えるようになります。

J[線の色]の[▼]ボタン→[線なし]をクリックします。

枠線のない四角形になります。

K折れ線と、四角形の右上角が接するように、四角形の右辺中央のハンドル(○)をドラッグします。

折れ線の70%地点との接触は、厳密に考える必要はありません。縦棒で表わされるものを区分けするのが主目的なので、きれいに区分けされるようにします。

L四角形の上辺中央のハンドル(○)をドラッグして、四角形とグラフの高さを合わせます。

M四角形を右クリックして、ショートカットメニューから[オートシェイプの既定値に設定]を選びます。

[オートシェイプの既定値に設定]すると、その図形の色などの属性を、次に描く図形に引き継げます。

N[図形描画]ツールバーの[四角形]ボタンをクリックして、第2軸の90%の目盛りを起点とし、先ほど描いた四角形と接するように四角形を描きます。

全体の70〜90%を占めるものがBグループなので、90%の目盛りを起点として、Aグループを表す四角形と接するように、四角形を描きます。

O[塗りつぶしの色]の[▼]ボタン→[その他の色]をクリックします。

P[標準]タブで薄い黄色を選んで、[OK]ボタンをクリックします。

先ほど描いた四角形を[オートシェイプの既定値に設定]しているので、[透過性]の初期値は「60%」になっています。

Q半透明の薄い黄色で塗りつぶされた四角形のハンドル(○)をドラッグして、折れ線の90%付近に、四角形の右上角を合わせます。

R四角形とグラフの高さを合わせます。

S[図形描画]ツールバーの[四角形]ボタンをクリックして、第2軸の100%の目盛りから、先ほど描いた四角形と接するように、四角形を描きます。

最後に描く四角形は、Cグループを表すものとなります。

(21)[塗りつぶしの色]の[▼]ボタン→[その他の色]をクリックします。

(22)[標準]タブで薄い赤色を選んで、[OK]ボタンをクリックします。

(23)Cグループが赤色で分類されます。

(24)ABCの各グループが色分けされた、ABC分析しやすいパレート図となりました。

 

 

ABC分析では、折れ線の傾き具合の検証や、パレート図同士の比較などを行います。

●折れ線の傾き具合で、ABCの各グループに分類されるものが変わってきます。

下のようなパレート図は、ABCの各グループのバランスが良く、安定性と効率面で良い状態といえます。

Aグループに属する商品は、積極的な拡販策をとることで、さらに売上を伸ばせる可能性があります。その商品の市場性を見定めながら、販売戦略を練ることになります。

もしも市場性に陰りが見られるようなら、Bグループの商品をAグループへと育てる必要があります。Bグループに属する商品は、主力製品の予備軍です。

Cグループに属する商品は、販売戦略そのものを見直す必要があるものです。育てていくのか、それとも市場から撤退させるのか、またはもう少し様子を見るのか、慎重に検討する必要があります。

下のようなパレート図になった場合には、安定性の弱さを、今後の販売戦略で考慮する必要があると思われます。構成比の70%を占めるAグループの商品が少なく、そのいずれかが競争に負けても、売上は大きく下がることになるからです。Bグループの商品の早急な育成が必要かもしれません。

下のようなパレート図は、Aグループの商品が多く、安定性では評価できます。

ただし、逆に言うなら、注力するべき重点商品が絞られていないとも言えます。もしかすると、営業効率が悪いのかもしれません。注力するべき商品を見押す必要があるかもしれません。

●売上ばかりではなく、販売個数や粗利など、いろいろな側面からABC分析を行います。

ABC分析は、一つの側面からだけではなく、考えうるさまざまな側面から行うべきです。

たとえば、下のパレート図は、販売個数からABC分析したものです。売上のパレート図ではCグループに属していた商品が、はからずもAグループの末端に属しています。売上では貢献していない商品だったのですが、もしかすると集客には貢献しているのかもしれません。他のデータでそれが裏付けられるようなら、その商品の販売戦略を見直してみるのもおもしろいかもしれません。

下のパレート図は、粗利からABC分析したものです。売上ではBグループの目立たない存在だった商品が、なんとAグループで粗利に貢献しています。販売個数のパレート図で確認してみると、やはり末端ながらAグループで頑張っています。どうやら粗利率が高く、需要もある商品のようです。市場性を検討する必要はありますが、もしかすると主力製品に育つものかもしれません。

このように、いろいろな側面でABC分析することで、見えてくる戦略があります。データで裏付けられているものなので、会議などでの説得力もあります。