エクセル実践塾 > 特集「パレート図」

パレート図とは

 

 

 

 

 

 

パレート図は、降順に並べ替えた棒と、その構成比累計の折れ線を、一緒に表示する複合グラフ

パレート図は、棒グラフと折れ線グラフが、一緒に描かれる複合グラフです。

一般的に、棒グラフでは、売上や個数、頻度などが表わされます。降順で並べられるので、右肩下がりの棒グラフになります。

折れ線グラフで表わされるのは、それらの構成比の累計です。構成比が積み重ねられながら描かれるので、折れ線は右肩上がりとなり、最終的に100%となります。

棒グラフと折れ線グラフで表わされる値の大きさが異なることから、折れ線グラフは右側に表示される第2軸を使います。パレート図の作成方法についての質問が多いのは、通常のグラフではあまり見られない、この第2軸を用いることに理由があるのかもしれません。

パレート図は、折れ線グラフから作ることができます。

 

 

パレート図を使って、ABC分析する

パレート図は、ABC分析で用いられます。

ABC分析では、売上や個数、頻度などの高いものから、Aグループ、Bグループ、Cグループのようなグループ分けを行います。グループ分けすることで、重要なものや優先すべきものを明らかにしていきます。

一般的には、全体の70%を占めるものをAグループ、70〜90%をBグループ、残り10%をCグループとして分類します。このグループ分けの指針となるのが、構成比累計で描かれる折れ線グラフです。グループ分けの割合は、分析対象の特性などによって調整します。

商品管理の場合には、ABC分析によって、売れ筋や死に筋を客観的に確認できるようになります。

具体的な数値やグラフにすると、これまで見えなかったものが見えてくる

自分で管理する商品の動きの善し悪しなどは、いちいち表やグラフにしなくても十分にわかっている、と言う人もいるでしょうが、現実には意外と見落としていることが往々にしてあります。身近に接しているほど、数字ではなく感覚で把握した気にな るのですが、これはとても危険なことです。

ときには、少し客観的な目で全体を眺める必要があります。時間や資金などの限られた経営資源を効率よく配分していかなければ、商売の発展は見込めません。

ABC分析は、簡単な手順で行えるものですが、そこから得られる成果は決して小さなものではありません。並べ替えやグラフ化などの処理を容易に行える、パソコンに適した手法でもあります。

死に筋が多くても、売れ筋が少なすぎても、あまり良い状態とはいえない

全体の70%を占めるものをAグループ、70〜90%を占めるものをBグループ、残り10%をCグループとして分類するのが一般的ですが、C グループに入るものが悪い、という単純な結論には必ずしもなりません。たとえば商品管理なら、Cグループに属するものはたしかに見直すべき商品ですが、A グループの商品が少なすぎるようならそれもまた問題です。少数で全体の70%を占めるということは、そのうちのいずれか一つでも欠けるだけで、大幅な売上減となってしまう危険性をはらんでいるからです。そうした状況がABC分析で見えてきたなら、Bグループの商品にてこ入れするなどして、できるだけ早急にAグループの商品を増やす必要があると思われます。

ABC分析をいくつかの側面で行って、それらを比較しながら検討することも重要です。売上高ではCグループのものが、粗利益や在庫高などでは優秀な成績を残していることもあるからです。それらを総合的に見ることで、適切な判断を行えます。

 

 

ネット販売では、ABC分析が必ずしも当てはまらない

パレート図を用いたABC分析は、いわゆる「8対2の法則」に基づいています。20%のコストで80%の成果が挙げられるという現象がさまざまなところで観測できるという 、これまでの経験則が、ABC分析の根拠となっています。

このABC分析を販売で利用すると、店舗には売れ筋商品が重点的に並ぶようになります。店舗が狭いほど、売れ筋商品に集中したほうが、売り上げを伸ばしやすくなるからです。

ところが、店舗を持たないネット販売の場合には、必ずしもこのABC分析による販売方法が当てはまりません。売れ筋商品を目立つ所に配置するという方法が有効なことは間違いありませんが、店舗という物理的な制限がほとんどないことから、そうでない商品でも扱うことが難しくありません。そのような、本来ならCグループに相当する商品の総売上が、売れ筋商品に匹敵するくらいになる場合もあるのです。扱う商品によっては、そうしたものの総売上が、全体の半分以上を占めることもあるようです。ネット販売では、「塵も積もれば山となる」 ことが決して珍しくないのです。

これは、ネット販売独特の「ロングテール」と呼ばれる現象です。インターネットの世界では、現実における経済性の制約条件が、取り払われてしまうことがあるのです。