ABC分析では、折れ線の傾き具合の検証や、パレート図同士の比較などを行います。
●折れ線の傾き具合で、ABCの各グループに分類されるものが変わってきます。
下のようなパレート図は、ABCの各グループのバランスが良く、安定性と効率面で良い状態といえます。
Aグループに属する商品は、積極的な拡販策をとることで、さらに売上を伸ばせる可能性があります。その商品の市場性を見定めながら、販売戦略を練ることになります。
もしも市場性に陰りが見られるようなら、Bグループの商品をAグループへと育てる必要があります。Bグループに属する商品は、主力製品の予備軍です。
Cグループに属する商品は、販売戦略そのものを見直す必要があるものです。育てていくのか、それとも市場から撤退させるのか、またはもう少し様子を見るのか、慎重に検討する必要があります。
下のようなパレート図になった場合には、安定性の弱さを、今後の販売戦略で考慮する必要があると思われます。構成比の70%を占めるAグループの商品が少なく、そのいずれかが競争に負けても、売上は大きく下がることになるからです。Bグループの商品の早急な育成が必要かもしれません。
下のようなパレート図は、Aグループの商品が多く、安定性では評価できます。
ただし、逆に言うなら、注力するべき重点商品が絞られていないとも言えます。もしかすると、営業効率が悪いのかもしれません。注力するべき商品を見押す必要があるかもしれません。
●売上ばかりではなく、販売個数や粗利など、いろいろな側面からABC分析を行います。
ABC分析は、一つの側面からだけではなく、考えうるさまざまな側面から行うべきです。
たとえば、下のパレート図は、販売個数からABC分析したものです。売上のパレート図ではCグループに属していた商品が、はからずもAグループの末端に属しています。売上では貢献していない商品だったのですが、もしかすると集客には貢献しているのかもしれません。他のデータでそれが裏付けられるようなら、その商品の販売戦略を見直してみるのもおもしろいかもしれません。
下のパレート図は、粗利からABC分析したものです。売上ではBグループの目立たない存在だった商品が、なんとAグループで粗利に貢献しています。販売個数のパレート図で確認してみると、やはり末端ながらAグループで頑張っています。どうやら粗利率が高く、需要もある商品のようです。市場性を検討する必要はありますが、もしかすると主力製品に育つものかもしれません。
このように、いろいろな側面でABC分析することで、見えてくる戦略があります。データで裏付けられているものなので、会議などでの説得力もあります。